アルトコインでも進むETF審査
ビットコインETFの成功を受け、米国ではアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)を対象とするETFの拡充が本格化している。なかでも、イーサリアム(ETH)の現物型ETFは2024年に承認され、2025年には一時的にビットコインETFを上回る資金流入を記録した。この動きは、「第3のETF銘柄」への関心を高める契機となった。
一方、ソラナ(SOL)やリップル(XRP)などを対象とするETFは、証券該当性や監督市場の有無といった規制上の不透明さから、承認が難航してきた。とくに、ビットコインETFが準拠する「商品型信託スキーム」は適用条件が厳しく、同様の方式での申請には高いハードルがあった。
こうした中、各運用会社は制度の枠内で創意工夫を重ね、米REX Sharesは1940年投資会社法に準拠した投資信託のスキームを採用。ETF本体を米国で上場させつつ、ケイマン諸島の子会社を通じて暗号資産を保有する構造を構築し、SOLやXRP、ドージコイン(DOGE)などを対象とする現物型ETFをいち早く実現した。
さらに追い風となったのが、2025年9月に米証券取引委員会(SEC)が導入した「暗号資産ETFの包括的上場基準(Generic Listing Standards)」である。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)での先物取引実績や市場監視体制の整備といった要件を満たす銘柄については、個別審査を経ずに上場が可能となった。
加えて、ブロックチェーン上で暗号資産を預けることで報酬を得られる「ステーキング」という仕組みに関して、SECが一部は証券に該当しないとの見解を示したことも大きい。これにより、イーサリアムやソラナなどを対象とするステーキング対応型ETFの上場が可能となり、従来の価格変動益に加えてインカムゲイン(定期収益)も期待できる新たな商品が登場しつつある。
米政府機関の一時閉鎖回避によって規制審査の停滞懸念も解消され、市場では年末から2026年にかけて、アルトコインETFの審査が一段と加速するとの期待が高まっている。足元ではビットコイン価格が最高値更新後の調整局面にある中、アルトコインETFの拡大が暗号資産市場の回復を後押しする新たな材料となるか、注目されている。