テキサス州で建設中のOpenAIのデータセンター(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

ビッグテックと化石燃料企業は米全土にデータセンターを展開

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[ブラジル北部パラー州ベレン発]「多くの人が知らないことだが、米国は現在AI(人工知能)データセンターの“グラウンド・ゼロ”になっている。データセンターは化石燃料の新しい需要を生み出しており、米国全土で増殖している」

 国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)のイベントで米環境NGO「生物多様性センター」のジーン・スー氏は「ビッグテック企業と化石燃料企業は二人三脚で米国全土に新しいデータセンターを展開している」と糾弾した。

 生物多様性センターの報告書『データ・クランチ』(今年10月)は「AIブームによるデータセンター建設ラッシュは米国の電力需要を爆発的に押し上げ、2035年のNDC(国別削減目標)を破綻させる恐れが極めて高い」と警鐘を鳴らしている。

 データセンターがこのままガス火力(主にシェールガス)依存で建設されれば35年の米国電力部門排出枠の最大44%をデータセンターが使用し、経済全体の排出枠の10%をデータセンターが占める。このため家庭・産業など他部門は本来より60%も多く排出削減を強いられる。