10年で価格は約4割上昇、20万円超の商品も

 ランドセル工業会の同調査によると、購入価格の平均は6万746円で、前年2024年より1500円ほど上昇しました。最多価格帯は「6万5000円以上」で、4割超の家庭がここに集中。実際の支払い者は「祖父母(父方・母方)」が半数を超え、54.5%を占めています。

 ランドセルの購入は、子ども1人に対して父母だけでなく、父方の祖父母・母方の祖父母という合計6つの財布がある「6ポケット」の象徴として広がってきましたが、そのことを如実に示すデータと言えるでしょう。

ランドセル デザインの今昔(ランドセル工業会の資料などからフロントラインプレス作成)

 少子化が進んでもこの傾向は大きく変わっていません。シンクタンクのニッセイ基礎研究所がことし2月に公表したリポート「少子化とランドセル市場」によると、2024年までの10年間で、初めてランドセルを背負う小学校1年生の数は14.3%も減少し、93万7000人となったものの、「6ポケット」効果でランドセルの平均価格はおよそ4割も上昇しました。

 その結果、ランドセルの市場規模は拡大を続け、10年前と比べて約2割増、552億円に拡大。市場の規模拡大は転換点に差し掛かっているものの、「人生の記念となる消費については6ポケット効果によって他の消費と比べて予算に余裕がある」と結論付けています。

 実際、2027年春モデルの各社のラインナップを見ても、10万円台や20万円超の商品も少なくありません。メーカー側もまだまだ“強気”の姿勢を崩していないようです。