色もデザインも多様化、250種類から選べるサブスクも

 近年のランドセルは色もデザインも多様化してきました。かつてのランドセルはB5サイズの本やノートが入る大きさでしたが、最近はA4サイズがすっぽり入る大きさが標準です。マチ幅も13センチ前後あり、何冊もの教科書、iPadなどの情報端末も問題なく収容することが可能です。

 技術の発展により、カラーが豊富になったことも特徴です。かつては牛革の染色技術の問題もあってランドセルは黒と赤ばかりが目立っていましたが、最近はパステルカラーや2色以上を用いたものも登場。さらにアニメのキャラクターや浮世絵、動物の姿などをあしらった大胆なデザインのランドセルも多数登場しています。

 販売だけでなく、ランドセルのサブスクに乗り出す企業も現れました。大阪市のコクホーは、子どもの成長や好みの変化に応じて最大約250種類のランドセルから選べるサブスクサービスを始めました。月額料金は4カ月ごとに交換可能なプランは2970円、毎月交換可能なプランは4950円。2023年のサービス開始以来、利用者はすでに1000件を超えているそうです。

 入学時の経済負担を少しでも減らしたい保護者らと、子どもの飽きやすさをともにカバーしてくれる点が魅力なのでしょうか。

 6年間で使い終えて廃棄するのはもったいない、としてランドセルの中古市場も賑わっています。古くなったランドセルを職人が再生したり、NPO・NGOを通じて海外に寄付したりする流れもできてきました。

 また、ランドセルは最近、海外の「大人」にも人気を呼んでいます。ハリウッドの有名女優が赤いランドセルを愛用していることが広く知られるなどし、世代を問わないファッショナブルなアイテムとしての人気も拡大しているのです。

 そうした流れを見越し、しにせメーカーのセイバン(兵庫県)のように、ランドセルの海外展開を目指す動きも強まってきました。独自の発展を遂げた「日本のランドセル」が「世界のランドセル」になる日もそう遠くないかもしれません。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。