多様化、高額化するランドセル(写真:KeyRabbits/イメージマート)
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2027年春に小学生となる子どもたちに向けた「ランドセル商戦」が、早くも熱を帯び始めています。少子化の影響で子どもたちにお金をかける傾向が続き、「ランドセルは高額」という考えも定着。実際に使い始めるのは1年半ほど先のことですが、お気に入りのランドセルを手に入れようという「ラン活」はすでに過熱気味です。ランドセルとラン活の現状はどうなっているのでしょうか。やさしく解説します。

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早くも2027年春向け商戦

 祖父母や父母、そして子ども本人が一緒になって、どんなランドセルがいいかを検討し、実際に購入する――。その一連の動きは2010年ごろから「ラン活」と呼ばれるようになりました。子どもが年中組になった家庭では、ラン活が一大イベントになるケースもあるようです。

 ランドセルメーカーの各サイトを覗くと、早くも2027年春モデルのランドセルがたくさん並んでいます。「高学年になっても飽きないシンプルなデザイン」「持った瞬間すぐ分かる驚きの軽さ」「お子様の夢をカタチに」といったセールストークと共に立ち上がるのは、各社自慢の品々とその画像・映像。1社で100アイテム以上を掲載しているメーカーも少なくありません。

 機能性重視だけでなく、華やかなデザインや明るい蛍光色の商品も目立ちます。「ユニークなデザインで個性を引き立てる、デザイナーズランドセル」「カタログをご請求いただきましたお客さまには、全員に生地見本をプレゼント」などの売り込みも続々。各社のカタログを一括請求できるサイトもいくつもできています。

 ランドセルを使い始めるのは1年半ほど先。商戦は少し早すぎではないかと感じるかもしれませんが、最近はこの傾向が定着してきました。

 一般社団法人・日本かばん協会の傘下でランドセルの普及に努めている団体「ランドセル工業会」が2025年春に小学生となった保護者を対象に調査したところ、2023年12月に購入品の検討を始めた家庭は13.3%に達し、月別では2024年4月の16.2%に次いで2番目の多さでした。これらを含め、入学の1年前までに検討を開始した家庭は52.6%となり、半数を超えました。実際の購入は入学を翌年に控えた4月と5月、そして8月に集中しています。商品選びに数カ月から半年ほどをかけている形です。