「この不況は少しずつ悪化する」

 四中全会が終わってみると、次の3点が明らかになった。

(1)習近平は強い。彼が第4期目に入ることが事実上内定した。

(2)不動産バブル崩壊に対して共産党は打つ手がない。現状維持が政策目標になった。だから不況は続く。

(3)当面台湾には侵攻しない。より正確に言えば侵攻できない。だが将来は分からない。台湾解放は習近平の野望だけでなく、共産党の悲願でもあるからだ。今後も軍備を増強する。だから次に習近平が命じた時、軍は拒否し難いだろう。

 四中全会が終わった後に、中国の金融関係者と話すチャンスがあった。彼は諦め顔で次のようなことを話していた。

「この不況は良くなるどころか、少しずつ悪化する。何も手を打たないのだから、病気が良くなるわけはない。習近平は居座る。少なくともこれから7年間(残りの任期2年と次の5年)は何も変わらない。だけどデジタル監視社会の下で、大っぴらに不満を言うこともできない。まあ自分が職があるだけマシだ。給料は上がらないけどね・・・(笑)。

 大学の新卒者は悲惨だ。バイク便の運転手くらいしか職がない。不動産ローンを抱えて失業すれば地獄を見ることになる。不動産は値段が付いていても売れないから、どうしようもなくなる。自殺する人もいるよ」

 現在中国の人々はこのような閉塞感の中で暮らしている。四中全会が終わって中国が急に日本に厳しい態度で臨むようになった背景である。