四中全会に出席した習近平国家主席(写真:新華社/アフロ)
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 (福島 香織:ジャーナリスト)

 中国共産党の重要会議、四中全会(中央委員会第四回全体会議)が10月23日に閉幕し、コミュニケが発表された。四中全会以前、習近平の健康問題説や早期引退説が盛り上がっていたが蓋(ふた)を開けてみれば、コミュニケでは習近平独裁強化が色濃く打ち出され、一時公式文書から消えていた「二つの確立」、「二つの擁護」を並べる習近平独裁スローガンが復活した。

「二つの確立」とは、「習近平同志の党中央の核心、全党の核心的地位を確立する、習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想の指導的地位を確立する」、「二つの擁護」とは、「習近平総書記の党中央の核心、全党の核心的地位を断固擁護する、党中央の権威と集中統一指導を断固として擁護する」ことをそれぞれ意味する。

 一時揺らいでいたように見えた習近平の自信があたかも復活したかのように、習近平を核心とする党中央の統一集中指導を高らかに打ち出した。

 そして注目の解放軍人事だが、中央軍事委員会7人中3人が失脚しているにもかかわらず補充人事が行われなかった。国防部長の董軍も中央軍事委員会入りが見送られ、中央軍事委員で軍事規律検査委員会書記の張昇民が兼務する形で中央軍事委員会副主席に昇進した。

 さらに中央委員の上将、中将の42人中27人がこの四中全会を欠席(失脚者含む)。つまり四中全会直前に軍党籍はく奪処分が発表された9人だけでなく、さらに多くの上将、中将クラスが失脚するとみられることだ。

 つまり中央軍事委員会に補充するだけの軍の人材はおらず、中央軍事委員会どころか解放軍全体が機能不全に陥っている可能性がうかがえるのだ。そして四中全会コミュニケでは、習近平の強軍思想の貫徹と軍事委員会主席責任制の実行が強調されていた。

 解放軍大粛清と習近平独裁宣言ともいった印象の四中全会コミュニケの背後に、いったい何があったのだろうか。