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高市氏の自民・新総裁就任は中国・台湾にどう受け止められたか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 自民党総裁選で高市早苗氏が第29代総裁に選出された。15日の臨時国会で、日本憲政史上初の女性首相が誕生することになる。このことは、国際社会にも大きなインパクトを与えており、特に中国側が気色ばんだ反応を見せている。一方で、台湾の頼清徳総統がXを通じてすぐさま高市総裁誕生に祝辞を送り、日台関係の新たなステージへの前進に期待を示していた。

 日本が高市政権になった場合、日中台の関係にどのような変化が起こりうるのだろうか。

 高市氏が自民党総裁、つまり次期首相に選ばれた背景には、リベラルにぶれすぎた自民党を伝統的な保守路線に回帰させようという保守世論が強かったことが一つあろう。日本のオーバーツーリズムや移民の問題、中国の反日路線に不安を感じている日本の世論に一番支持されそうなのが高市氏であったということだろう。

 一方で高市氏は、総裁選中は靖国神社参拝についての言及を避けるなど、自民党内の異なる意見にも配慮している。当選後の記者会見で「ワークライフバランスを捨ててまいります。働いて働いて働いてまいります」と語ったように、自他認める仕事人間であり、外交、経済、安全保障と学習・研究に貪欲であり続けている高い能力の人物であることも、時代の要求にあったのではないかと思う。

 日本政治で世襲議員が有利であったのは、親の代から積み重ねてきた派閥や人間関係が当人のリーダーシップより重視されてきたからだ。一部で「神輿は軽い方がいい」という言い方があるように、自分で学習、研究し、判断し、決定する頭のいいリーダーより、周囲の意見を従順に聞き入れ、派閥の利害なども考慮する調整型を「理想の総理」とする風土があった。

 だが今回、日本でも調整型リーダーではなく、トランプ型や頼清徳型の、ときに強引、独断ともいえる決断ができそうな強いリーダー像が求められたのだろう。

 しかし、自身の派閥をもたない高市氏が、その本領をいかんなく発揮できるか、というと、そう簡単ではないはずだ。

 麻生派閥の支持を受けたことで決選投票を勝利したとあれば、消費減税を含む減税政策についても麻生氏の顔色をうかがうことがあるかもしれない。

 そうした党内の対立を乗り越えて、自民党と国内経済を立て直すことができるのかというのが、高市次期首相の力量が問われる最大のテーマであることは間違いない。だが、もう一つ注目すべきテーマとして、個人的には、外交、特に日中台関係で、新たなステージの幕をあけることができるか、ということをあげたい。