現在の中国を取り巻く状況を整理してみよう。

 天安門事件は現代中国史の大きな分岐点であった。この事件の結果、経済は市場主義(資本主義といってもよい)、政治は共産主義という奇妙な体制が出来上がった。政治は共産主義と言えば聞こえは良いが、「政治は独裁」と言っていることに他ならない。共産党独裁下で資本主義経済が動いている。

 人々がそのような体制に文句を言わなかったのは、経済が順調に発展していたからからだ。1990年頃から2020年にかけて中国経済は急成長した。人々は豊かになることに夢中で、その間共産党の独裁を許していた。

 独裁政権はチェック機能が働かないために暴走しやすい。中国では不動産価格が上がり続けることを前提にして経済が動いていた。それはバブル期の日本と同様であったが、チェック機能が働かない中国では、バブルは日本よりも大きくなってしまった。2020年代に入るとそのバブルが崩壊し、奇跡の成長を支えたシステムが動かなくなってしまった。

 日本の失われた30年は改革が叫ばれた時代でもあった。1993年の細川内閣、社会党党首を首班に担いだ村山内閣、小選挙制度導入、橋本政権による省庁再編、小泉内閣による不良債権処理、公明党と連立による福祉の拡充、果ては民主党政権まで誕生した。右往左往を重ねながら、いろいろな改革を行った。

 今度は中国が改革を行わなければならない番だ。共産党内外から現体制への不満が聞こえてくる。そのような状況の中で四中全会が開催された。