アマゾン側は「不完全な情報」と反論
一連の報道に対し、アマゾンの広報担当ケリー・ナテル氏は、「リークされた文書は、不完全で誤解を招く全体像を描くことが多く、今回もそのケースだ」「あくまで一つのチームの見解を反映したもので、会社全体の雇用戦略を示すものではない」と報道内容を否定した。
加えて、ホリデーシーズン(年末商戦)に向けて25万人の採用計画(発表資料)があることを挙げ、「過去10年間で、米国においてアマゾン以上に多くの雇用を生み出した企業はない」と、雇用創出者(Job Creator)としての側面を強調した。
試される「効率化」と「社会的責任」の両立
ただ、アマゾンの計画が実行されれば、その影響は計り知れない。
シーネットは、50万人以上の削減規模は、米物流大手フェデックス(FedEx)が1社まるごと消滅するのに匹敵すると指摘する。
昨年のノーベル経済学賞受賞者である米マサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アセモグル教授はNYTの取材に対し、「アマゾンがこれ(採用抑制)を収益化につなげる方法を見いだせば、その手法は他社にも広がるだろう」と指摘。
その上で、アマゾンの目標が達成されれば「米国最大の雇用主の一つが、雇用を純増させる存在ではなく、純減させる存在になるだろう」と警鐘を鳴らした。
先月の報道から約3週間が経過したが、アマゾンが「効率化」という株主や取締役会からの要請と、「雇用主」としての社会的責任をどう両立させていくのか、その動向には、引き続き厳しい視線が注がれている。
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