最新のロボット技術を取り入れたミシシッピ州にあるアマゾンの配送センター(2022年8月11日撮影、写真:AP/アフロ)
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 米アマゾン・ドット・コムが、米国内で50万人以上の雇用をロボットで代替、あるいは新規雇用を抑制する大規模な自動化計画を進めている――。

 10月下旬、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が内部文書に基づき報じたこのニュースは、米国最大の雇用主の一社が描く未来の職場像を露呈させ、大きな波紋を広げている。

 アマゾンはこれまで、ロボット導入100万台を達成しつつも、「(その目的は)従業員の負担を減らし、安全性を高めるための『協働』」だと強調してきた。

 だが、今回リークされた資料は、その公式見解とは対照的に、取締役会からの圧力を背景とした、徹底的なコスト削減と効率化の内実を示すものだった。

内部文書が示す「75%自動化」計画

 NYTが報じ、その後ザ・バージなど複数の米メディアが報じた内部文書によれば、計画の核心は「業務の75%自動化」だ。

 アマゾンは2033年までに、50万人以上の職務をロボットで代替できると試算。

 これにより、2027年までにまず16万人の新規雇用を抑制し、2025年から2027年までの3年間で、126億ドル(約1.9兆円)のコスト削減を見込んでいる。これは、商品1個当たり約30セント(約45円)の削減に相当するという。

 この計画は、同社が近年開発に注力してきた最先端技術によって裏付けられている。今年5月に発表した新型ロボット「Vulcan(バルカン)」もその一つだ。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、このロボットはニューロシンボリックAI(Neurosymbolic AI)と呼ばれる新技術を活用し、施設内のアイテムの約75%を人間の作業員に匹敵する速度で処理できる。

 米マッシャブルの報道によれば、Vulcanのような新型ロボットが1000台稼働する、米南部ルイジアナ州シュリーブポートの新施設では、ロボットを導入しない場合と比べ、必要な従業員数が25%少なくてすむ。

 この比率は2026年までに50%に達するという。アマゾンは、この「ルイジアナモデル」を2027年末までに全米約40の施設に導入する計画だ。