被害者にも加害者にもならないために

 黒崎さんは「交通強者がルールを守ることが大事。強者である車が守らないから被害が出る」と力をこめる。

 2026年4月からは、自転車の違反行為にも反則金を課す「青切符」制度が始まる。新制度に対しては、ネット上で「自転車に厳しすぎる」などの声が出ているが、被害者にも加害者にもならないよう一人一人が運転技術や法令、界隈の道路環境をチェックするなどの努力を続けないと悲劇はなくならない。黒崎さんもいま、こう考えている。

群馬県高崎市大八木町の歩道に掲げられている「自転車および歩行者専用」の標識(2025年8月2日穐吉撮影)

「『このままじゃだめ』っていう問題はまだまだある。生きているうちは、問題に立ち向かっていきたい。効率優先で大人が作り上げた車社会で、これ以上子どもたちが犠牲にならないように」

穐吉 洋子(あきよし・ようこ) フリーカメラマン、ライター。大分県出身。北海道新聞社写真記者職を経て、主にウェブメディアにて執筆、写真を掲載。共著に『「わたし」と平成 激動の時代の片隅で』、『チャイルド・デス・レビュー:子どもの命を守る「死亡検証」実現に挑む』など。調査報道グループ「フロントラインプレス」所属。