AIに向き合う姿勢が将来の道を分ける
AIを学ぶ機会を持てるかどうか、そしてAIを恐れずに使いこなそうとする意識があるかどうか。これが未来の労働市場で生き残れるか否かを左右します。
私は企業研修の講師として、全国の中小企業経営者と接してきました。
彼らの多くはAIを「難しいもの」「自分とは関係ないもの」と考えがちです。
しかし、実際にはプロンプトエンジニアでなければ、ChatGPTを活用するために専門的な知識はほとんど必要ありません。
スマートフォンでSNSを使える人なら、生成AIも十分に扱えます。
それでも一歩踏み出せないのは、変化への恐怖と失敗への拒絶が根強いからです。この心理的な壁こそが、AI格差をさらに広げています。
文部科学省が2024年に発表した調査では、「AI活用教育」を実践している高校は全体のわずか9%にとどまりました。
一方、フィンランドではAI教育が義務化され、大学入試でもAIリテラシーを問う設問が導入されています。
日本がこのまま教育格差を放置すれば、AI時代の「情報鎖国」に陥るリスクすらあるでしょう。
結局のところ、学び続ける意欲こそが新しい価値になっているのです。この状況をどう受け止めるべきでしょうか。
AIが進化するほど、人間は働く権利だけでなく、働かない権利についても考えざるを得なくなります。
ベーシックインカムやAI税の議論が世界で進むのも、この延長線上にあります。
カナダのオンタリオ州ではAI導入による雇用減少を補う形で「AI税」の導入案が浮上しました。
また、韓国のソウル市では、生成AIの活用によって生まれた行政コスト削減分を市民還元する取り組みも始まっています。