街並みのミニチュアから組合の旗まで、当時の暮らしがわかる資料が所狭しと並ぶ

 内部は鴻之舞鉱山とその街のかつての姿や史料が所狭しと展示されており、平成20年には国の登録有形文化財(建造物)となった。いまでは、見学者も毎年3000〜4000人が訪れている。

 ほか、保存会では、施設内外の運営と修復活動、鴻之舞金山の伝承活動、市民農園やイベントなどを行っており、山林に還りつつある一帯の中でも駅逓周辺だけは花壇や菜園の整備などがなされている。

 建物の入口で作業をされていた男性にここへ来た経緯を話すと、ぜひ見て行って欲しいという。のちにわかったことだが、彼は「上藻別駅逓保存会」の代表の小玉さんであった。

 保存会のメンバーはこうして交代で付近の保守や収蔵品の解説、当時の思い出を語り継ぐ活動を行っており、聞くところによると毎日滞在しているわけでもないので連絡なしで通りかかったタイミングで見学できるのは運がいいとのことであった。

 中はまさしく「金山資料館」そのものであった。

 かつての鴻之舞鉱山の町並みを再現したミニチュアや地図、写真などをはじめ、当時使用していた鉱山用機材、掘り出して精錬する前の金鉱石、組合の旗、そのほか街で暮らした人々の思い出の品々が部屋から廊下に至るまで溢れている。それらはすべてかつてこの町で暮らした人々と会員の寄贈品と製作物である。

上藻別駅逓に展示される当時の写真や生活の品々(写真提供:紋別観光振興公社)

 興味深いのは展示物だけにとどまらない。大正時代の駅逓建築をそのまま修繕して使っていることから、シンクの蛇口にあたるものが井戸からの汲み上げポンプになっていたり、風呂場がかつてニシン漁場で使っていたような大釜を埋め込んだ五右衛門風呂になっているのも面白い。

 地元のラジオやテレビ局の取材を受けた名残や、過去に街を訪れたことがあるモンキー・パンチ氏(北海道浜中町出身である)のサインも置かれていたほか、韓国の映画のロケ地に使われたこともあるという。