東シナ海を海と空から影響下に置く中国の目的とは
2024年11月30日には、中国の爆撃機(H-6)2機及びロシアの爆撃機(Tu-95)2機と戦闘機、空中給油機、情報収集機が長距離にわたる共同飛行を行った。
中国とロシアによる海軍艦艇や航空機による共同訓練や共同パトロールは過去にも行われている。中国軍とロシア軍の関係が緊密になっていることがうかがえる。
出典:防衛省「統合幕僚監部」報道資料より
次の写真は2025年9月15日に撮影されたY-9哨戒機である。情報収集機などさまざまなタイプがある。図は東シナ海から太平洋へ抜け、旋回した後、東シナ海へ戻ったY-9哨戒機と、台湾付近を飛行する無人機のルートだ。近年ではこのような飛行は珍しくなくなった。
Y-9哨戒機(写真:防衛省・統合幕僚監部の報道資料より)
図:防衛省・統合幕僚監部の報道資料より
2017年12月18日に初めて戦闘機が対馬海峡を通過した際に、その飛行目的について中国空軍の申進科報道官(当時)は、爆撃機や戦闘機など多数の空軍機が対馬海峡を通過して日本海で訓練を実施し、「遠洋実戦能力」を試験したと発表した。
さらに、同報道官は「特定の国家や地域を対象にしたものではない」と述べ、「日本海は日本の海ではない」「外国軍機(日韓機による緊急発進)の妨害に対処し、訓練目的を達成した」と述べた。
中国軍機は1990年代から日本周辺の空を飛行するようになったわけだが、1990年代といえば、中国が東シナ海の日中中間線付近で資源開発を本格化させた時期と重なる。東シナ海を海と空から影響下に置く目的があったと見られる。
2017年12月18日に対馬海峡と宮古海峡を通過した中国軍機。戦闘機が対馬海峡を通過したのは、これが初めて(図:防衛省・統合幕僚監部の報道資料より)