「AIバブルはドットコムバブルと同じように崩壊する」

 ダイモン氏は「強気相場が半年から2年続き、株価もさらに10〜20%上がるかもしれない。この状況はコロナ危機で市場に投じられた巨額マネーにより生じた。米国では連邦債務10兆ドル、量的緩和4兆ドル。資本とマネーは液体のようなものであらゆる隙間を満たす」という。

「AIのような新技術は評価額が非常に高くても、いつ弾けるかを予測するのは不可能。1974年(オイルショック不況)、82年(ボルカー不況)、87年(ブラックマンデー)、90年(湾岸戦争)、ドットコムバブルを見ても誰も正確に崩壊を予測できなかった」

 ダイモン氏はAIについて「実在する技術であり全体として社会的利益をもたらす。自動車やTVのように世界を変える。ドットコムバブルからグーグル、フェイスブック、マイクロソフトが生まれた一方で、1兆ドルもの資金が失われた。AIでも同じことが起きる」と指摘する。

 ドル安についてダイモン氏は「ドルは依然として世界最良の通貨。投資の一部をドル以外に分散させるのは自然なことだが、もし全財産を一つの国にしか置けないとしたら間違いなく米国だ。最良の経済、法制度、最強の軍事力に守られているからだ」と揺るぎない信認を示した。

【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。