米テキサス州にあるオープンAIのデータセンターを冷却するための装置(9月23日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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 9月下旬、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)が、対話AI「Chat(チャット)GPT」で知られる米オープンAIに対し、最大1000億ドル(約15兆円)を投じる戦略的提携を発表した

 AI開発の中核を担う半導体メーカーと、その応用をリードするソフトウエア開発企業の連携は、人類の知能を超えるとされる「AI超知能(AI Superintelligence)」の実現に向けた開発競争が新たな局面を迎えたことを示唆している。

異例の規模で計算基盤を整備 800万世帯分の消費電力

 提携の核心は、オープンAIが次世代AIを開発・運用するために必要とする、大規模計算インフラの構築だ。

 計画では、10ギガ(ギガは10億)ワットの電力を使用するAIデータセンター群を整備する。

 米CNBCによれば、これは400万~500万基のGPU(画像処理半導体)に相当し、総電力量は一般家庭約800万世帯の消費電力に匹敵する。

 エヌビディアのジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)も「巨大なプロジェクトだ」と述べており、規模の大きさがうかがえる。

 オープンAIは、この計算基盤を用いて最新モデル「GPT-5」の運用や、その先の次世代AI開発を進める。

 サム・アルトマンCEOは、この提携でもたらされる成果について、「我々がまだ考えも及ばないような驚くべきものになる」とし、その期待感を強調した。

 提携の第1段階として、2026年後半にエヌビディアが開発中の次世代プラットフォーム「Vera Rubin(ヴェラ・ルービン)」を搭載するデータセンターが稼働開始する計画で、投資はインフラ整備の進捗に応じて段階的に実行される。