会見の舞台に登場したフェラーリのフラッグシップモデルの新型「849テスタロッサ」(写真:筆者撮影)
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スーパーカーの代名詞であり、富裕層の象徴とも言えるフェラーリ。2024年の通期決算では売上高も営業利益も過去最高を記録し、グローバル販売台数は1万3752台で、うち3割に相当する4003台が北米市場向けだった。今年に入ってからはトランプ関税の影響を受け、4〜6月期の実績は市場予測を下回ったものの、好調さを維持している。そうした中、ファラーリ・ジャパンが9月24日、都内で報道陣向けにフラッグシップモデルの新型「849テスタロッサ」を日本初公開した。最新のフェラーリの魅力についてレポートする。

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 イタリアンレッドを強調した舞台から、「849テスタロッサ」が登場した。
 
 実車を間近で見た第一印象は「新しさと懐かしさの融合」といったところである。なぜならば、1970年代に活躍したレーシングカー「512S/512M」や、1980年代のフェラーリ量産モデルなどを思い起こさせるデザインだからだ。

発表会で登壇した、フェラーリ・プロダクト・マーケティングマネージャーのマルコ・スペッソット氏(写真左)と、フェラーリ・ジャパン代表取締役社長のドナート・ロマニエッロ氏(写真:筆者撮影)

   ボディ寸法は全長4718mm×全幅2304mm×全高1225mm、ホイールベースは2650mm。
 
 パワートレインはプラグインハイブリッドで、車体後部に排気量3990ccのV型8気筒ツインターボエンジンと1つのモーター、さらに左右前輪それぞれを駆動するモーターがあり、合計で3モーター方式を採用した。

車体後部に搭載された排気量3990cc・V型8気筒ツインターボハイブリッドシステム(写真:筆者撮影)
車体前部に搭載された、2つの駆動用モーター(写真:筆者撮影)

  モデル名称の前半部分の「849」とは、8気筒と気筒あたりの排気量490ccを意味する。
 
 さらに、モデル名称の後半部分の「テスタロッサ」とは、1955年にフェラーリのエンジニアが当時の高性能エンジンに赤い塗装でマーキングしたことを起源に、その後はフェラーリの最高峰エンジンを象徴するキーワードとなっている。

 フランスのル・マン24時間レースで優勝した「250テスタロッサ」や、日本でも当時の有名スポーツ選手らが所有した1984年登場の量産モデル「テスタロッサ」なども有名だ。 

記者会見でテスタロッサの歴史を紹介する様子(写真:筆者撮影)

 849テスタロッサは、パワートレインを含めて「SFC90 ストラダーレ」の後継モデルで、システム出力は50馬力アップした1050馬力。ブレーキシステムは最新の電子制御機能を持つブレーキ・バイ・ワイヤー方式を採用し、スプリングやショックアブソーバーのセッティングを見直して、乗り心地と操縦安定性をさらに高めた。

849テスタロッサのインテリア(写真:筆者撮影)

  さて、これから先はクルマの性能やデザインを深掘りするのではなく、フェラーリというビジネスについて考察してみたい。