ローン・オフェンダーは急速に増えている

 ローン・オフェンダーによる事件は近年、急速に増えてきたとされています。

 2024年4月には自宅で鉄製パイプ銃を作っていたとして、警察が千葉市内の26歳の男を逮捕しました。男はその後、読売新聞の取材に対し、「母親が多額の献金をした旧統一教会に恨みがあった。自分にもできるんじゃないかと思った。社会に不満があり、省庁爆破も想像した」という趣旨を語っています。銃はネットで見て作ったようです。

 同年10月には、50歳の男が自民党本部前で火炎瓶を投げ、首相官邸の防護柵に車で突っ込むという事件がありました。男は事前に安倍元首相や岸田首相の襲撃事件に関連する情報をインターネットで調べていたことがわかっています。
 

イメージ(写真:WESTOCK PRODUCTIONS/Shutterstock.com)

 また、警察庁の発表によると、ことし7月の参院選を巡っては、候補者や要人に危害を加えるとしたSNS上の書き込みが多発しました。同庁はそれらを分析し、計889件の危険な投稿を確認。その一部について警察は投稿者に直接、「警告」を発出しました。

 その中には、石破首相の公式SNSに「生命狙われてもおかしく無い。防弾チョッキは着といた方がええよ」という投稿、岸田前首相について「(街頭演説に)来たら命ねえかもな」などとした投稿が含まれていました。

 ローン・オフェンダーとされる事件は、外国でも再三起きています。

 2013年の米ボストン・マラソンでの爆破事件(3人死亡、約300人負傷)、仏トラック突入による2016年のテロ事件(86人死亡)、2019年に起きたニュージーランドのモスクでの銃乱射事件(51人死亡)、米南部で「移民は侵略者」と叫ぶ男が銃乱射(23人死亡)、米東部で白人至上主義者の男が黒人10人を銃で射殺――など実例は枚挙に暇がありません。

 米連邦捜査局(FBI)が2019年に公表した調査報告「Lone Offender : A Study of Lone Offender Terrorism in the United States (1972 – 2015) 」によると、ローン・オフェンダーが引き起こした33件の事件(死者計258人、負傷者計982人)を分析したところ、実行犯の52人は全員が男で、このうち43人はすぐカッとなり、相手を脅迫する傾向があったことがわかりました。一方、政府に不満を抱いていたのは13人。また、10人が白人至上主義に傾倒し、10人がイスラム過激派の考えに共鳴していました。

 では、どうしたらローン・オフェンダーの犯罪を防げるのでしょうか。