多くの企業で、データレイクは活用されずにデータがたまり続けるだけの「沼」と化してしまった。Ryzhkov Oleksandr / Shutterstock.com
業務は人間中心からデジタル中心へ――。自律的に判断し、行動し、目標を達成する「AIエージェント」が、真のDXと企業変革を実現しようとしている。成否を分けるのは何か。『AIエージェント時代のDX』(安部慶喜、柳剛洋、金弘潤一郎著/日経BP)から一部を抜粋。変革に必要な考え方や技術、人材について明らかにする。
全社データを集約しても、分析は速くならなかった。データレイクの限界が見えた今、分散したままデータを生かし、意思決定のスピードを飛躍的に向上させる「新たなデータ活用のアプローチ」とは?
データレイクの限界と「データの沼」
『AIエージェント時代のDX』(日経BP)
データが企業にとって重要な資産であるという認識が広がるにつれ、IT部門が全社的にデータを統括管理する動きが進んだ。同時に、システム運用の主導権が業務部門とIT部門に分かれ、管理責任が分断される構造が定着する。
2010年代に入ると、企業システムの主流はクラウドへと移行する。AIが注目される中で、構造化・非構造化を問わず、あらゆるデータを一元的に格納する「データレイク」という概念が登場する。目的は、AIの学習や意思決定支援のために全てのデータを集中管理し、必要に応じて活用できるようにすることだ。
しかし、DWHからデータレイクの時代に至るまで、物理的にデータを1カ所に集約するというアプローチは構造的な限界を抱えたままだ。保存先がオンプレミスの大型サーバーからクラウドに変わっても、本質的な課題は変わらなかった。
大手企業になれば、運用するシステム数は100を超えるのが一般的だ。各システムは国・地域・事業部ごとに独自設計されており、規制やデータ主権の観点から、海外クラウドに保存された情報を一元管理するのは容易ではない。国ごとに異なる法制度・セキュリティー基準を順守する必要があり、実務的には統合実装は不可能に近い。







