江陵の海岸(gen hyung leeによるPixabayからの画像)
韓国の風光明媚な観光都市が渇水の危機
2025年9月、韓国の東部、海に面した風光明媚な江陵(カンヌン)市(北緯37.76度、東経128.90度)は「生存の危機」とも形容される最悪の水不足に直面している。
主要水源・オボン貯水池の貯水率は9月初旬時点で12.5%にまで落ち込み、政府の「災害事態宣言」を受けて75%の厳しい制限給水が始まった。
さらに、今後4週間で貯水率が5%以下に陥る可能性すら指摘されている。
この危機の背景には、太白山脈が雨雲の流入を阻みやすい地形的な要因や、マルチ水源確保策の遅れ、近年続く異常高温による「突発型旱魃」の多発が重なっている。
2025年夏の累積降水量は平年の半分以下で、8月の雨は平年の約25%しか降らなかった。
また、地域間格差も鮮明だ。
江陵の隣市・束草(ソッチョ)市は地下ダム構築など長期インフラ整備で急場をしのいでいるが、江陵は2027年完成予定で現時点の対応力が圧倒的に不足している。
近隣にある冬季オリンピックが開催された平昌(ピョンチャン)郡や首都ソウル市は、突発時の水路ネットワークや非常導水計画を準備・稼働させており、江陵との格差は顕著だ。
災害の深刻度では、周辺都市や郡に比べ江陵が際立っている。
住民は国や企業による飲料水の配布、水道メーター封鎖、ソウルからの消防車やヘリによる緊急給水といった生存維持策に依存せざるを得ない。