第107回全国高等学校野球選手権は、沖縄代表、沖縄尚学高校の初優勝で幕を閉じた。開幕直後に広陵高校の暴力事件が発覚し広陵高校は出場辞退となったが、酷暑にもかかわらず連日大きな盛り上がりとなった。観客数は72万4700人と前年の67万800人を大きく上回った。
この大会に出場したのは全国49代表だったが、予選に相当する都道府県大会には3396校が参加した。その中には、単独ではなく複数の高校による「連合チーム」での参加もあった。
「連合チーム」が認められたことが部員不足の高校では「野球部存続」の大きな力に
高校野球の選手権大会の前身である全国中等学校野球大会が始まったのは1915年のことだが、ここから長く出場校は「1校1チーム」と決められていた。
しかし20世紀末から複数の学校による「連合チーム」の公式戦参加を認めるべきではないか、という議論が起こった。
こうした議論を受けて1997年から学校が統廃合される場合に限り各都道府県高野連の承認を得た上で、新旧学校による連合チームの出場が認められるようになった。
さらに、2011年には東日本大震災に被災して部員数が減少した高校同士による連合チームの出場を容認する特例措置が設けられた。
この時期から都道府県大会への参加校数が減少に転じ、2012年には4000校を割り込んだ。そこで2012年の夏の大会から特別の事情がなくとも部員が8人以下の学校同士による連合チームでの大会参加や、部員を他校から借りるケースが認められた。
こういう形で「連合チーム」は一般的になった。
厳密には、「連合チーム」は「統廃合による連合」と「部員不足による連合」の二つがあり、2025年は「統廃合による連合」が7チーム(14校)、「部員不足による連合」が148チーム(425校)になっている。
2012年から始まった「部員不足による連合チーム」は、高校野球の参加校数、参加選手数を維持するうえで大きな役割を果たしていると言える。
