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「打率2割台で首位打者」の可能性も

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 今季のNPBは、記録面で見ると、過去にない異例の年になりそうだ。

 まずセ・リーグでは「3割打者」が消滅する可能性が高まっている。9月6日時点で、巨人の泉口友汰が辛うじて.320で3割超えだが、もし3割打者が消滅すれば、1リーグ時代の1942年、巨人、呉波の打率.286(370打数106安打)以来の「打率2割台での首位打者」ということになる。

9月6日現在、セ・リーグ打率トップで唯一の3割超えバッターの巨人の泉口友汰(写真:共同通信社)

 1942年と言えば、前年に太平洋戦争がはじまり、日本は「戦時下」。物資は窮乏し、職業野球でも使い古したボールを使用していて打球が飛ばなかったと言われている。

 比較にならないほど競技環境が充実した今のプロ野球だが、80年以上前以来の「投高打低」の時代になっている。

 パ・リーグも3割打者は2人だけ。

「投高打低」の背景に何があるのか? 今後の究明が必要だが、それとともに、NPBの記録分野では、もう一つの異常事態が進行している。

 両リーグの「規定打席」到達者が激減しているのだ。

 9月2日時点では、セ・リーグ17人、パ・リーグ19人。

 昭和の昔から「打撃30傑」という名が知られているように、両リーグの規定打席到達者は30人前後いるのが当たり前だった。

 1958年に両リーグが12球団になって以降昨年までの、規定打席到達者数のセ・パ最多、最少を見てみると以下の通りになる。

【最多】
・1986年パ39人 首位打者:落合博満(ロッテ).360:3割10人
・1996年セ38人 首位打者:パウエル(中日).340:3割16人
・2004年セ38人 首位打者:嶋重宣(広島).337:3割20人

【最少】
2013年セ21人 首位打者:ブランコ(DeNA).333:3割5人
2022年パ21人 首位打者:松本剛(日本ハム).347:3割2人

 今季は、両リーグともにこの記録を下回る可能性が高まっている。