退任が発表された広陵高校の中井哲之監督(写真:共同通信社)
実は急速に「変革」が進む高校球界
夏の甲子園が始まってから発覚したこともあって、広陵高校の暴力事件は、予想を上回る広がりを見せている。一方で、夏の甲子園は猛暑にもかかわらず、大盛り上がりを見せたのだが。
確かに広陵高校、広島県高野連、日本高野連の対応は後手に回り、遅きに失した感がある。
SNS全盛の今は、当事者でも関係者でもない匿名の投稿者が火に油を注ぐような投稿を行い「炎上」させる。ネット社会に疎い学校関係者の対応にも問題があった。
この問題の火元は広陵高校であり、学校関係者、高校野球関係者の対応がまずかったために、こうした事態を招いたことは改めて間違いない。
高校野球は、昭和の時代から甲子園の高校野球全国大会は春と夏の「国民的行事」であり、プロ野球と並び、日本中の注目を浴びてきた。しかしその分、反感を抱く人も少なくなかった。
ひとたび問題が起こると、社会は高校野球に対してバッシングを行うようになった。
この「炎上事案」によって「勝利至上主義」「甲子園至上主義」に対する批判の声も強くなり、ついには「甲子園廃止」「高野連解体」の議論さえ起こっている。
ここ10年、青少年世代の野球競技人口は減少の一途をたどっている。その減少率は「少子化」だけで説明できるものではない。率直に言って若い世代から「野球は選ばれていない」のだ。

