ロシアのプーチン大統領(左)と米国のトランプ大統領(右)の首脳会談はどうなる?(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)
米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り1バレル=62ドルから65ドルの間で推移している。米国の原油在庫が増加したことなどから需給の緩みが意識され、価格の上限は先週に比べて3ドルほど低下した。
まず原油市場の需給を巡る動きを確認しておきたい。
石油輸出国機構(OPEC)は8月12日に公表した月報で、OPECプラス(OPECとロシアなどの大産油国で構成)の7月の原油生産量は前月に比べ日量33万5000バレル増加したことを明らかにした。予定されていた41万1000バレル増を下回った。
OPECの生産量は日量26万3000バレル増加した。増産が目立ったのはサウジアラビアだった。OPECプラス全体の増加分の約半分(日量17万バレル増)を占めた。
OPECはさらに来年までの世界の原油需要見通しも示した。今年の原油需要は据え置き(前年比日量129万バレル増)、来年の原油需要は従来の日量128万バレル増から138万バレル増に上方修正した。
だが、市場はこれに反応しなかった。OPECのここ数年の予測は過度に楽観的であり、業界全般の需要予想を大きく上回っているからだ。
12日は米エネルギー情報局(EIA)の短期見通しも発表された。
米国の今年の原油生産量は日量1337万バレルから1341万バレルに上方修正し、来年の生産量は日量1337万バレルから1328万バレルに下方修正した。
来年の原油価格については、従来の1バレル=54.82ドルから47.77ドルへと大幅に引き下げた。
米国の石油産業を取り巻く環境は悪化している。