4月16日、米国との関税交渉のためホワイトハウスでトランプ大統領と会談した赤澤亮正担当大臣(White House/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)
8月8日、トランプ政権の課す15%の相互関税が発動された。日米合意の詳細な内容についての文書はなく、今後の展開が懸念される。税率15%の解釈について、日米間の齟齬が生じているようで、訪米中の赤澤亮正担当大臣が米側と修正の話を詰めている。15%でも、日本経済には大打撃だ。
経済のみならず、安全保障についてもアメリカ第一主義を掲げるトランプ大統領に、日本はどのように対処すべきなのであろうか。
日中戦争の泥沼
日中戦争・太平洋戦争終結から80年、今から振りかえれば、なぜ日本は無謀な戦争に突入したのかと疑ってしまう。
日本は、日清、日露戦争に勝利し、朝鮮を植民地化して、中国大陸へ進出し、満州国を独立させ、権益を拡大していった。その頃には、事実上の日中戦争が始まっていたが、1937年7月7日の盧溝橋事件を機に日中戦争へと突入していった。
戦争は、蒋介石の国民党軍、毛沢東の共産党軍、そして日本軍の三つ巴の戦いとなり、中国大陸全土に広まっていった。1937年12月には、日本軍は南京を陥落させた。その直前に、蒋介石は国民政府を南京から四川省の重慶に移した。
1938年10月には、日本軍は広州、そして武漢を制圧した。1939年2月に海南島を占領した。5月には、重慶の爆撃を開始し、翌年まで繰り返して行った。
1939年4月、天津のイギリス租界で、日本が支援する中国人の要人が暗殺された。犯人がイギリス租界で保護されているとして、日本の北支那方面軍は、6月14日に天津のイギリス租界を封鎖した。
この事態を非難するアメリカは、7月26日、日米通商航海条約(1911年締結)を更新しないことを通告してきた。6カ月前の通告である。
日本軍の重慶爆撃などにアメリカは怒っており、反日感情が高まっていたのである。条約の破棄は、石油、屑鉄、工作機械などをアメリカからに輸入に頼っていた日本にとっては大きな打撃になりうる事態である。
1939年9月1日にヒトラーがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まった。
