7月21日未明、開票情勢について記者会見を終え、引き揚げる立憲民主党の野田代表(写真:共同通信社)
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 7月20日投開票の参院選では、政権与党の自民・公明両党が大敗したものの、野党第一党の立憲も議席を伸ばせずに終わった。その象徴とも言えるのが、改選議席数6プラス非改選の欠員1が争われた東京選挙区。立憲は候補者2人を擁立したが、現職の塩村あやか氏のみが7位でのギリギリ当選となった。

 選挙戦後半に突如「戦略的投票大作戦」が立憲議員により展開され、塩村氏ではなくもうひとりの立憲候補に投票を促された影響や、立憲民主党自体が受け皿になれず比例票も国民民主党、参政党を下回る4番手にとどまったことなど、忌憚なく聞いたインタビューを2回に分けてお届けする。

◎前編から読む
「選挙戦の序盤は悪くなかったが…」立憲民主・塩村あやかが語る参院選東京選挙区の戦い

(ジャーナリスト・富岡悠希)

「お前ら立憲は何考えてる? 多文化共生やマイノリティーばかり」

——こうしてインタビューしていると、かなり痩せたうえに、腕などの日焼けからも苦戦した様子が伝わってきます。東京選挙区と同じく、全国の比例得票でも立憲の結果は厳しいものになりました。自民、国民、参政に次ぐ、4番手となっています。

塩村あやか・参院議員(以下、塩村):今回、他の野党と同じように消費減税を訴えましたが、他党は他にもより強い理念を前面に押し出していた。立憲ももっと違うアジェンダを出して、立憲独自色の強い政策やスローガンを有権者に伝えることが大事だったと思います。

インタビューに応じた塩村あやか氏(写真:筆者撮影)

 集会にいくと高齢者、中高年から「消費税が減ると社会保障費はどうなるの?」と言われました。これまで「支え合う社会」を言ってきたのに、不安にさせてしまったのです。コアな立憲支持者も支持が揺らいでいることを自覚しないといけません。

 さらにマイノリティーを守るという訴えが、マジョリティーを見ていないと映ってしまっているのも問題です。

 先日、とある地域を訪問した時、テントに集まっている地元の皆さんに挨拶する機会がありました。初対面だった顔役男性に挨拶すると、厳しい言葉をかけられました。

「お前ら立憲は何考えてる? 多文化共生やマイノリティーばかりで、普通の人の暮らしを考えたことあるのか?」。「日本人ファーストで頼むよ」と続けた彼の言葉を聞きながら、周囲の方々も強くうなずいていました。それを見て、本当にショックでした。

 生活が苦しくても、頑張って踏みとどまっている人に対して、私たちの訴え方は「誤解」を与えているのかもしれません。税金で助けられている層ばかりの仕事をやっている、普通の日本人から搾取していると捉えられてしまっている可能性があります。もちろん、それは誤解です。