左2つ:キイロダカラ、中:楚蟻鼻銭、右:一円玉(比較のため掲載)(出所:筆者蔵)
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(安木 新一郎:函館大学教授)

縄文時代の函館

 2024年における日本の市区町村魅力度ランキングで1位、国内外からの年間観光客数は600万人、クルーズ客船も今年度には76隻寄港予定など、日本有数の観光都市として知られる函館。五稜郭、函館山、朝市などの名所が数多くある。

 また函館は、世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」に含まれ、北海道に2つしかない国宝の一つ「中空土偶」をはじめ、多くの縄文遺物が発見されている。

 ここで紹介したいのは、タカラガイの貝殻だ。函館・戸井貝塚で発見されたタカラガイはなんと房総半島からもたらされたもので、しかも秋田県産のアスファルトが付着していたのだ。実物は市立函館博物館に所蔵されている。

 同じようなタカラガイは北海道の北端の礼文島でも見つかっている。縄文人は、海を越えて移動しており、函館は昔から北海道に内地の物を運ぶための中継地点だった。