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(白石 拓:作家・サイエンスライター)

島弧は火山活動のマグマでできた

 トカラ列島を含む南西諸島をはじめ、島弧と呼ばれる地形はほぼすべて、主としてプレート境界付近で起こる火山活動によって形成されたものです。そして、この火山活動には海洋プレート(以下、プレートをPと表記)が含む大量の水が関係しています。

 海洋Pは長い間海底にあったことで、割れ目等から海水がたっぷりしみ込んでいます。南西諸島では、海洋Pのフィリピン海Pが大陸PのユーラシアPの下に沈み込みますが、このとき、フィリピン海Pに含まれる水も一緒に地下に運ばれます。

 そして、沈み込みが深くなるにつれ、プレートは高温・高圧環境にさらされますので、プレート内部の水が搾り出されます。その水ももちろん高温・高圧ですので、その水に岩石が溶けてできるのがマグマです。

 マグマは岩石に比べて比重が小さいので上昇し、地殻から吹き出した溶岩が冷え固まってできた岩石が島弧を作ったのです。

 海洋Pの沈む込みは現在も続いていますので、マグマはどんどん生産されているはずです。その証拠に、島弧には活火山や休火山が数多く存在しています。トカラ列島でいえば、主な活火山には、諏訪之瀬島(すわのせじま)の御岳(おたけ)、中之島の御岳、悪石島(あくせきじま)の御岳(みたけ)、口之島の燃岳(もえだけ)などがあります。

 そのうち、諏訪之瀬島の御岳の活動は活発で、常時噴火している状態です。そのため、諏訪之瀬島付近では、火山性の群発地震が頻発しています。ただし、今回の群発地震はこの火山性地震とは関係していません。