AI開発者会議「ラマコン2025」でスピーチするザッカーバーグ氏(4月29日、カリフォルニア州メンロパーク市で、写真:AP/アフロ)
米IT業界で、企業の未来を左右するAI開発の覇権を巡る人材獲得競争が熾烈さを増している。
特に米メタは、「超知能(スーパーインテリジェンス)」開発を目標に掲げ、競合からトップ級の研究者やエンジニアを破格の報酬で引き抜く積極策に打って出た。
この動きは業界全体の報酬水準をかつてないレベルに押し上げており、ライバル企業は対応を迫られている。
新部門設立で「超知能」の開発加速
メタのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は6月30日、社内に新部門「Meta Superintelligence Labs (メタ・スーパーインテリジェンス・ラブス、MSL)」を設立したと発表した。
人間を超えるAIである超知能の開発を加速させ、業界のリーダーシップを確立するのが狙いだ。
ザッカーバーグ氏は社内メモで「AIの進歩が加速する中、超知能の開発が視野に入ってきた。人類の新時代の幕開けになると信じており、メタがその道をリードするためなら何でもする」と決意を表明(米CNBCの記事)。
この新部門は、既存の基礎研究チーム「FAIR」や大規模言語モデル(LLM)「Llama」の開発チームなどを統合し、AI開発の中核を担う。
メタが6月に出資したAI新興、米スケールAIの創業者アレクサンダー・ワン氏が最高AI責任者に就任。ソースコード共有サービス、米ギットハブの元CEOナット・フリードマン氏もAI製品開発の責任者として招いた。
さらに、対話型AI「ChatGPT」を手がける米オープンAIをはじめ、米グーグル傘下の英グーグル・ディープマインド、米新興アンソロピックといった競合から、トップ人材11人を新たに雇用したことも明らかにしている。