ズークスの自動運転車(1月7日、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー=CES会場で、写真:AP/アフロ)
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 米アマゾン・ドット・コム傘下で自動運転技術を開発する米ズークス(Zoox)はこのほど、米カリフォルニア州に専用設計のロボタクシー量産工場を本格稼働させたと発表した

 これは、2025年後半に予定するネバダ州ラスベガスでの同社初の商用サービス開始に向け、車両生産を加速させるのが狙い。

 先行する米グーグル系の米ウェイモ(Waymo)に加え、大規模展開を狙う米テスラとの競争が本格化する。

 次世代モビリティー(移動サービス)市場は新たな段階を迎える。

ズークス、米国初の専用量産工場を稼働

 アマゾン傘下の自動運転スタートアップであるズークスが、サンフランシスコとシリコンバレーを合わせたベイエリアのヘイワードに新たな車両生産施設を開設した。

 これは同社にとって2番目の生産施設である。また、運転席のない専用設計ロボタクシーの量産に特化した施設としては米国初となる。

 工場の広さは約2万平方メートル(東京ドームのほぼ半分)だ。

 現在、1日1台のペースで生産しているが、今後生産速度を上げ、将来的には年1万台の生産能力を持つ計画だ。

 ズークスのアイシャ・エバンスCEO(最高経営責任者)は、車両を一般販売するのではなく、自社で配車サービスを運営するため「市場の需要に応じて生産を柔軟に拡大していく」方針を示している。

 この量産体制の確立は、研究開発段階から商用化への本格的な移行を意味する。

独自車両と厳格な安全基準

 ズークスの最大の特徴は、運転席やハンドルがなく、最大4人の乗客が向かい合って座る「キャリッジ(4輪馬車)スタイル」の独自車両にある。

 同社はこの車両を「車輪のついた高性能コンピューター」と表現している。

 この、ゼロから専用設計するアプローチが、既存車両を改造して自動運転車化する競合他社とは一線を画す点だ。

 ズークスは設計から製造、サービス運営までを垂直統合で行うことで、安全性とサービス品質の最適化を図る。

 新工場では、車体搬送などの特定作業をロボットが担い、人間の技術者が組み立てや品質管理の主要部分を担当。

 完成した車両は、全センサーの協調動作を確認する「キャリブレーション」、時速120キロでの走行負荷テスト、豪雨を再現した防水性試験など、公道走行の安全性を担保するための最終ラインテストを経て出荷される。