安全保障政策での西側諸国と日本の微妙な距離感

 こうした日本の「独自の立場」をさらに際立たせたのが、中東情勢への対応です。6月13日にイスラエルがイランへの空爆を開始すると、西側の主要先進国の多くがイスラエル支持を表明する中、日本政府は中国やロシアと同様に、イスラエルを厳しく非難しました。

 その後、6月15日にカナダで開催されたG7サミットでは各国がイスラエル支援を改めて表明、日本のイスラエル批判が際立つ結果となりました。さらに、G7の開催に合わせて米側から提案のあった2プラス2(日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議)を日本側が断ったと報じられています。

 こうした報道が事実なら、国際情勢が緊迫化する中で同盟国との緊密な連携を確認したい米国側としては、相当な意外感を持って受け止められた可能性を否定できないでしょう。

 さらに、6月24〜25日にオランダ・ハーグで開催されたNATO首脳会議には、トランプ大統領をはじめG7の首脳が勢ぞろいしましたが、例年通り招待されていた石破総理は急きょ出席を取りやめました。そして、同じタイミングで中国がかねてより反対していた「NATOの東京事務所開設」の検討中止が報じられました。

 日米交渉の長期化に加え、国際情勢が緊迫化する中での日米関係のすれ違いに、米国がいら立ちを募らせていたとしても決して不思議ではないでしょう。