日本株の「意外高」のワケ
26日の日経報道に前後して、日本株の上昇が加速しています。これまで3万8000円台でもみ合っていた日経平均株価は、あっという間に4万円の大台をクリアして大きく上昇しています(図表4)。そんな日本株の突然の上昇に、驚いている方も少なくないでしょう。
【図表4:日経平均株価の推移】

(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
というのも、現在の日本経済はインフレの高止まりによる実質賃金の低迷からGDPの約半分を占める個人消費が伸び悩み、2025年1〜3月期の実質GDP成長率(2次速報値)は前期比年率▲0.2%のマイナス成長となっています。また、トランプ関税の影響が懸念される輸出企業を中心に、日本の企業業績には先行き不透明感が強まっているからです。
しかし、今回の日経報道が日米交渉に取り組む日本政府に新たな難題を突き付けていると仮定すれば、話は少なからず変わってきます。というのも、日本政府は参院選直前というこのタイミングで「フェンタニル関税」という新たな交渉カードを突き付けられることで、米国の要求を飲まざるを得なくなる可能性が高まるからです。
こうした事態は日本政府にとって厳しいものかもしれませんが、こと日本株に関する限りポジティブな影響が期待される点には注意が必要でしょう。というのも、これまで米国は日本に対して①対米貿易黒字の削減、②防衛費の拡大、そして、③消費税をはじめとした非関税障壁の撤廃、を要求してきました。
もし、これらの米国の要求が現実のものになると、①対米貿易黒字の減少は円安要因に、②防衛費の拡大は景気刺激的な財政政策に、そして、③消費税のカットや廃止は個人消費を刺激して日本経済の成長要因となりそうです。つまり、いずれの要求が実現しても、日本株にポジティブに作用する可能性が高いと言えそうです。