ルーズベルトの真似をしてみたが・・・

 トランプ氏にすれば、地下80~90メートルの岩盤の下にあるウラン濃縮施設を、世界最強の地中貫通弾「バンカーバスター」で完全破壊し、イランの核開発の息の根を止めたという自信があった。

 それを米国民はもろ手を挙げて称え、「トランプ氏をノーベル平和賞候補に推薦」と思っていたに違いない。

 ところが、米国民は冷ややかな反応をみせた。

 前述の報道の影響もあってか、攻撃直後に実施された世論調査結果は以下の通りだった。

攻撃を支持 全体 民主党支持者 無党派 共和党支持者
する 44% 12% 40% 82%
しない 56% 88% 60% 18%

A majority of Americans disapproves of Trump’s Iran airstrikes, CNN poll finds | CNN Politics

 攻撃がトランプ氏の総合的な政策評価につながったかどうか。米国の政治ニュースサイト「Real Clear Polling」の各種世論調査平均値を見る限り、攻撃前とはほとんど変わっておらず、支持率は46.5% (不支持率50.3%) と低迷している。

President Trump Job Approval | RealClearPolling

 バージニア大学政治研究所のラリー・サバト教授は、こう指摘している。

「従来、戦争や戦闘後の大統領支持率は、A rally-around-too-flag- effect(旗振り効果)で急増するのものだが、今回は起こっていない。米国民は、海外での戦争に関わりたくないのだ」

「戦争と平和とのバランスをとりながら国民から圧倒的な支持を得たのはフランクリン・ルーズベルト第32代大統領だった。ジョー・バイデン第46代大統領はその真似をしようとして失敗した」

「トランプ氏は同じ轍を踏んだようにも見える」

As one conflict dies down, the domestic battles reignite - GZERO Media

米国人であることを誇りに思わなくなった

 もう一つ、ショッキングな世論調査の結果が出た。6月30日に公表されたギャラップ世論調査だ。

「米国人であることを誇りに思っているか」との問いに、「誇りに思っている」と答えた米国民は、半数を少し超えた56%(「非常に誇りに思っている」41%、「誇りに思っている」17%)。

 2020年の時より5ポイント減っている。

 逆に、「全く誇りには思っていない」が41%と、2022年の時より3ポイント増えている。

 特に、Z世代(13~28歳)では「誇りに思っている」と答えた人は41%と極端に少ない。

 トランプ氏の登場以降、米国人であることを誇りに思っている米国民、とりわけ若者が減っている原因は何なのだろうか。

American Pride Slips to New Low (gallup.com)