独自調査で気づいた裏金問題の核心
郷原:政治資金規正法の構造上の問題がよく分かっていなかったのだと思います。今回の裏金問題の性質が、刑事事件の定型になじみづらかったということです。必ずしも議員に配慮して、意図的にそのような捜査をしたわけではなかったと私は思います。
──郷原さんは早い段階からそうした捜査の問題を指摘されていました。
郷原:司法クラブの記者たちも、私が指摘していたことは分かっていたと思います。関西のメディアは取り上げたところがかなりありましたが、在京メディアはほとんど私の主張を取り上げませんでした。
朝日新聞がインタビューで一度だけ取り上げましたが、他の全国紙、在京地上波テレビはどこも取り上げませんでした。これは「裏金議員を処罰する」と世の中に思わせて捜査していた検察に配慮した結果です。
しかも、「3000万円以下は処罰しない」などと、処罰の対象から外すような言い方をしていました。その方向で報じようと判断したメディアが多かったということだと思います。
──ご自身が検察の立場だったら、異なる方法で捜査をしましたか?
郷原:私がやっていたら、「政治資金収支報告書に記載しないでいい」と言われてカネを受け取ったのだから、記載義務がない政治家個人に帰属するカネのはずだと言って、政治家個人への帰属を認めさせる方向で取り調べ、少なくとも税金は払わせる方法を取っていたと思います。
──郷原さんは野党が開いた裏金問題の勉強会などにも参加され、公開のセミナー形式で問題を指摘されていたと記憶していますが、あのタイミングでは、もう捜査の方向を変えることは難しかったのでしょうか?
郷原:納税の部分など、捜査のやり方を途中からでも変更はできたし、するべきだったと思います。
──郷原先生は検察とは別に、今回の裏金問題に関して独自に調査し、「裏金の核心はマネロン」と書かれています。