会社ごとに判断が異なる「カスハラ加害者残党たちへの対処法」
今回法改正された内容は多岐にわたりますが、中でもポイントとなりそうな点をそれぞれ抜粋して以下に挙げます。
【カスハラ対策の義務化】(参照:労働政策研究・研修機構ホームページ)
・カスハラ対策について、労働者保護の観点から事業主の雇用管理上の措置義務とする。
・対象となる行為や事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な内容は、指針で明確化する。
【公益通報に関する罰則強化】(参照:消費者庁ホームページ)
・公益通報を理由として解雇または懲戒をした者に6カ月以下の拘禁刑や30万円以下の罰金、法人は3000万円以下の罰金とする。
・公益通報後1年以内の解雇または懲戒は、公益通報を理由として行われたものと推定する。
これから法律施行に向けて具体的な内容が詰められていくことになりますが、カスハラ対策義務化によって、会社側は対価を払ってくれるからといって横暴な顧客の相手を社員に強いるような姿勢は取りづらくなると考えられます。
誰しも、横暴に振る舞う顧客への対応は避けたいものです。しかし、社員がどれだけ嫌な思いをしたとしても、顧客が商品やサービスへの対価を支払ってくれさえすれば会社の業績につながります。これまでは「顧客を選ぶのはワガママだ」「嫌な仕事から逃げるな」「お客さまを神様と思え」などと精神論を振りかざして社員に無理強いすることに長けた会社ほど、対価獲得機会を逸することなく売上利益を増やせる面がありました。
今回の法改正を通じてカスハラは許されるべきではないという認識が社会全体にさらに浸透していけば、顧客は自身の振る舞いにより注意を払うようになり、横暴な顧客自体が減少していきそうです。
ただ、法改正によってカスハラが完全になくなるとも限りません。
中には法律などお構いなしで態度を改めようとしない顧客もいれば、自分勝手な正義感などから引き続き過度な行動に出る顧客も一定数存在しそうです。それらカスハラ加害者の残党たちへの対応は、会社ごとに判断が異なってくるように思います。
また、公益通報者保護法の改正についても罰則の強化は前進と評価されつつも、「罰金額が軽すぎるのではないか」、「解雇や懲戒は対象となっているものの異動や配置転換は含まれていない」など課題を指摘する声が上がっています。
公益通報者をより強く保護する方向へとかじが切られている点についてどう受け止めるかも、会社によって温度差がありそうです。