黒人カウボーイの物語は失われている
同紙にビヨンセは「ヒューストン・ロデオは家族の絆、美味しい料理、多様なジャンルの音楽が融合した素晴らしいイベント。カウボーイの言葉の由来を理解した後、米国の歴史で黒人、褐色人種、先住民のカウボーイの物語がいかに失われているかに気づいた」と語っている。
カウボーイは「cow(牛)」「boy(少年・若者)」という意味だが、奴隷制度の時代、成人の黒人男性を子ども扱いする意図で「boy」と差別的に呼ぶ習慣があった。星条旗を掲げたビヨンセがウエスタンハットをかぶり、馬に乗る『カウボーイ・カーター』にはそんな意味がある。
昨年6月、テイラー・スウィフト(35)のリバプール公演にも妻と出かけた筆者はビヨンセのコンサートに、どうしてカウボーイ・コスプレのスウィフティーズ(テイラーのファンのこと)があふれているのか戸惑った。カントリー出身のテイラーのファンはウエスタンハットにブーツというカウボーイ・コスプレでコンサートにやってくる。
テイラーとビヨンセは友人だがライバルでもある。今回ビヨンセのファンがどうしてテイラーのファンと全く同じカウボーイ・コスプレをしているのか最初は『カウボーイ・カーター』に込められた意味に気付かず分からなかったのだ。
違いは、スウィフティーズはフレンドシップブレスレットをしているというだけだった。
リバプールFCの本拠地アンフィールドでのテイラー公演は母と娘、十代の少女グループが詰めかけチケットは完売。スイスに拠点を置くチケット個人売買仲介サイト「Viagogo(ビアゴーゴー)」でピッチサイドの立ち見席2枚を1352ポンド(26万5000円)で購入した。