「ドル箱」広告事業への影響と新たな収益源
グーグルの収益の大きな柱は検索広告であり、2025年1~3月期には507億200万ドル(約7兆3000億円)の広告収入を上げた。
AIモードが普及し、ユーザーが従来の検索サービスから離れると、この「ドル箱事業(cash cow)」に影響が出る可能性があるという懸念は根強い。
AIモードは、昨年のGoogle I/Oで発表された「AIオーバービュー」に続くものだ。
一般的なトピックに対するAI生成の簡潔な回答はユーザーに人気を博しているものの、同社の収益の大部分を占める広告のクリック率を低下させていると、英フィナンシャル・タイムズ(FT)は報じている。
グーグルの検索プロダクト担当バイスプレジデントであるロビー・スタイン氏は、米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、AIモードに広告を含める方法を検討していると述べた。
同氏は、「人々が実際に求めているコンテンツミックス(情報編成)の一部」との見解を示したが、具体的な広告統合方法や収益モデルについては、詳細を明らかにしていない。
一方で、グーグルはAI機能の高度化に伴い、サブスクリプション(定額課金)モデルへの移行も進めている。
標準的な「Google AI Pro(プロ)」プランは月額25ドル(約3600円)、最先端機能への早期アクセスを含む「同Ultra(ウルトラ)」パッケージは月額250ドル(約3万6000円)と、オープンAIの料金プランよりも高価な設定も見られる。
検索の先へ:自律型AI「Mariner」「Astra」が描く未来とエコシステム戦略
グーグルは検索機能の強化に加え、ユーザーに代わってタスクを実行する「自律型AIエージェント」の開発も加速させている。
今夏にかけて展開予定の「Project Mariner(プロジェクトマリナー)」は、ユーザーの指示に基づき、ブラウザーや他のソフトウエアを操作して旅行の予約や複雑な調査リポートの作成などを行うことができる。
先ごろのイベントでは、スマートフォンカメラやスマートグラス(眼鏡型端末)を通じて現実世界の状況を理解し、リアルタイムの音声指示に応答するマルチモーダルAI「Project Astra(プロジェクトアストラ)」のアップグレード版も披露した。
将来的にはこのAstraを検索に直接統合する計画で、米アップルのiOSデバイスにも対応するとしている。
さらに、米マイクロソフトなど他社も採用するAIエージェント間の標準通信規格「Model Context Protocol(モデル・コンテキスト・プロトコル、MCP)」の採用も発表し、AIエコシステム内での連携も視野に入れている。