中小企業が屋台骨、チョコから医薬品、化学品まで幅広く輸出
スイスは労働1時間当たり100ドル以上のGDPを生み出す。これは世界上位20位に入るどの経済大国よりも高い生産性だ。
分権化された政治・経済システムは小企業の台頭を促し、中小企業がスイス企業全体の99%以上を占めている。
スイスは医薬品から高級品まで幅広い産業で世界的に競争力が高い企業も多数擁する。
米ハーバード大学のグロースラボは、製品を作るために必要な高度なスキルの指標である輸出品の「複雑性」でスイスを主要経済国のトップにランキングしている。
またスイスの輸出品はチョコレートから腕時計、医薬品、化学品まで幅広く、強い通貨が工場を殺すという概念を覆している。
GDP比で18%に達するスイス製造業は、先進国で屈指の規模を誇る。輸出の半分以上は「ハイテク」で、米国の水準の2倍以上だ。
先端的な工業製品は値段が高いため、スイスが経常収支の黒字を維持することに貢献している。経常黒字は1980年代の初めから平均でGDP比4%強に達している。
貿易から得た収入は海外への多額の投資にリサイクルされる。
スイスは今、GDP比100%を超える純額ベースの対外投資の黒字を計上しており、これが外部ショックに抵抗する助けになる。
経常収支と海外投資で多額の赤字を抱える米国とは正反対の状況だ。
スイスに弱点があるとすれば、それは民間部門の債務がGDP比で拡大していることだろう。
それでも、米国や多くの欧州諸国とは異なり、スイスは利益が稼げずに債務の金利さえ払うこともままならないゾンビ企業の軍団を抱えていない。