通貨安は壊れた製造業基盤の解決策に非ず
スイスは静かに全天候型の経済を築いた。ドルが上げようと下げようと、世界経済が景気後退に入ろうと回復しようと関係なく、スイスフランは上昇してきた。
スイスはとにかく競争力を維持する方法を習得したようだ。
2015年に中央銀行の政策変更を受けてフランが高騰すると、製造業は為替動向にあまり敏感に反応しない高度な輸出品へ一段と急激にシフトした。
多くの政策立案者は東アジアの「奇跡」と呼ばれる経済国は通貨切り下げによって繁栄を手に入れたと考えている。
過小評価された通貨は確かに、韓国や中国といった国が製造業の輸出基盤を急激に成長させることに貢献した。
だが、インフラ投資や外国資本への市場開放といった他の要因も大きな役割を果たした。
一方、各国が経済発展のカーブを進むにつれ、為替相場のバリュエーションの重要性は薄れていった。
先進経済国は価格よりも品質で競争する必要がある。
こうした国にとっては、通貨の切り下げは国内メーカーに安価な製品を作るよう促すことで裏目に出ることがある。
米国のような国々がスイスから学ぶべき教訓は、通貨安は壊れた製造業の解決策にならないということだ。