李在明が実践する「ハンプリ」
朴槿恵大統領を弾劾した後に、大統領の座に就いた文在寅氏は「左派のインテリ」だった。大統領として有能だったかは別として、彼には「従北路線の国家形成」という確固たる信念があった。その目標達成能力だけは非常に優秀で、文政権の5年間で10年分共産化が進んだと言われている。
しかし李在明大統領は違う。私腹を肥やすため、罪から逃れるため、保身のためなら手段を選ばない、ただの権力お化けだと感じている。
実際に「共に民主党」は既に先月、法制司法委員会で「大統領に当選した被告の刑事裁判を在任中は中断する」という条項を盛り込み、刑事訴訟法の改正案を単独で可決している。
この「裁判中断法」は、現在開催中の臨時国会で最も注目されている法案だ。国会で可決されれば、議会の過半数を持つ韓国史上最強の左派政権が誕生するのである。
韓国語には「ハンプリ」という言葉がある。過去における個人的な恨みを晴らしてすっきりすることであるが、彼のしていることがまさにそれである。
幼いころから貧しく育った李在明氏は工場で働きながら独学で高卒試験に合格し、奨学金で中央大学というソウルの中堅大学に通った。試験勉強の結果を出すことが得意だということに本人が気づいたのだろう。司法試験に合格して、人権派弁護士から政治家に転身した。
後に自分の半生を振り返りながら、「工場に通っていたころはただ殴られないように努め、いつか自分も誰かを殴り、権力を振りかざそうと決めていた」と自伝に書いている。
理念も何もない貧しい少年が、「ハンプリ」のために大統領になった、ただそれだけである。
