完全に市民権を得た韓国の左派
尹大統領弾劾の反対運動をしていた時から、彼らの合言葉は「stop the steal」だった。共産勢力と李在明氏に国を乗っ取られるのを防ぐことに必死だった。それがこの国の民主主義を守ることだったからである。
朝鮮戦争休戦から70年たっても国内の分断工作を止めることができずに、いまだに大統領選挙の争点が「stop the steal」である。70年あれば家庭では3世代が形成できるほどの「一つの時代」だ。大韓民国の保守層は、この時代に何をしていたのかという話になる。
表面的にはいつも接戦に見える韓国の大統領選であるが、深層を見てみると、保守派が完全に敗北した実情が見える。朴槿恵政権が弾劾された時よりも、韓国左派の勢力は確実に強く、確実に市民権を得ている。この国はどこへ行くのだろうか。
個人的には李在明氏による独裁国家とならざるを得ないと考える。
ノージャパン・アゲインや派手な反日運動はあまり起こらないだろう。その代わり国会の過半数を使って、静かに確実に国家の骨格を変えていくと思われる。
そして国民は知らないうちに民主主義を失い、混乱状態になって初めて、大韓民国の建国や国是の矛盾に向き合おうとする人たちが少しずつ出てくるのではないだろうか。
5年間でどこまでできるかは筆者にも予想がつかない。ただ、ファンタジーで生きてきた韓国人が、現実的な近代化をやり直すチャンスがもしかしたら来るかもしれない。そう考えて、5年後の若い保守層に期待したいと思う。
立花 志音(たちばなしおん)
1977年生まれ 東洋英和女学院大学短期大学部キリスト教思想科卒業後、損保勤務を経てソウルに留学。2005年韓国で出会いの夫と結婚。現在2男1女を育てながら日本人が見る韓国をライターとして韓国内で活動中。