なぜ、そんなことになったかというと、礼子が普通のことだと考えていた仕事と育児、家事の全てをこなすことが至難だったから。礼子は疲れ果ててしまい、育児面で隙が生まれた。
ある夜、礼子はマンションの屋上に上がる。柵に手をかけた。それに気づいた詩穂は背後から声を掛ける。「あの、分かります。きれいですよね、ここから見える夜景」。礼子のプライドを傷つけず、冷静心を取り戻させようとした。
その後、強気を装い続けてきた礼子が本音を漏らす。「誰か助けて」。詩穂は温かい言葉を返す。「助けてくれる人がいますよ」「とりあえず私がいます」。
礼子は「ずっと謝ろうと思っていた」と消え入りそうな声で言った。まるで小中高生のようだが、距離の縮め方に年齢による違いはないのだろう。
2人の間に同志のような結びつきが生まれる。
「家事は仕事ではありません!」と言い切るエリート官僚
第2回から登場したのが厚生労働省のキャリア官僚・中谷達也(ディーン・フジオカ)。外資系ベンチャーキャピタル企業で働く妻・樹里(島袋寛子)との間に1歳6カ月の一人娘・佳恋(五十嵐美桜)がいる。現在、2年間の育休中だ。
詩穂とは児童公園で知り合う。頭はよく、仕事もできるらしいが、人間的には問題だらけの男だった。初対面の詩穂に「家事は仕事ではありません」と不躾に言い放つ。
ある日は詩穂に向かってLINEで不躾に「あすの午前10時に児童支援センターに集合」と指示した。詩穂が仕方なく言われた通りにすると、子供連れで水族館に直行させられる。中谷の尊大な態度の背景には専業主婦より自分のほうが偉いという誤解があった。
そんな中谷が変わり始める。佳恋の急な発熱がきっかけだ。スマホが見当たらないため、病院に連絡することも出来ず、うろたえた。タブレット端末を使って詩穂に知らせると、的確な助言を受ける。その後、詩穂は中谷宅に駆け付けた。
翌日から中谷は児童公園に来なくなる。詩穂に高圧的に接してきたことを恥じ、自己嫌悪に陥っていたからだ。
そんな中谷の胸の内が分かった詩穂は、「児童公園にあす10時集合」と書いた手紙を中谷宅の郵便受けに入れる。公園で詩穂が中谷に投げ掛けた言葉は「ずっと待っていたんですよ」。
詩穂と中谷も同志のような関係になっていく。