『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』(TBS)
いよいよベスト3。まず3位は『対岸の家事〜これが、私の生きる道!〜』。年齢も立場も違う育児世代の男女3人を通じ、現代社会に潜む課題を浮き彫りにするヒューマンストーリーだ。
物語は2年前の時点から始まった。主人公は多部未華子(36)が演じる村上詩穂。元美容師だが、現在は専業主婦で、賃貸マンションで暮らしている。夫の虎朗(一ノ瀬ワタル)は居酒屋チェーンのサラリーマン店長。2人の間には6カ月になる一人娘の苺(永井花奈)がいる。

詩穂は苺と2人だけで過ごす日が多かった。「誰か大人としゃべりたい」と痛感する日々を送っていた。だから近所で開かれた乳幼児向けの手遊び教室に出掛ける。
そこで出会ったのが大手企業に勤務する長野礼子(江口のりこ)。夫でイベント会社に勤務する量平(川西賢志郎)との間に1男1女がいる。現在は女児出産後の育児休暇中だが、間もなく復職する。
詩穂と礼子の会話は完全にすれ違った。「決まった? ウチはやっと決まったわよ」(礼子)、「夕食の献立ですか?」(詩穂)、「保育園よ」(礼子)
詩穂が自分は専業主婦だから苺は保育園には入れないと言うと、礼子は蔑むような目になった。
多様化の時代と言われながら、人は少数派や自分と違う立場の人間を疎んじてしまいがち。礼子は働きながら育児も家事もこなすのが普通だと思っていた。
その後、礼子はほかの母親に対し、詩穂のことを「絶滅危惧種だよね」と卑しめる。それを詩穂は聞いてしまい、傷つく。直後に礼子が詩穂の隣室に引っ越してくるが、親しくなれるはずがない。挨拶すらしない日々が続いた。
それから2年。詩穂と礼子の距離がいや応なしに縮まる日がやってくる。礼子の子供がベランダの手すりを乗り越えそうになったところを、詩穂が捨て身で助けたためだ。