ダナンで韓国の高校の同窓会が

 こういう事象の背景にあるのは言うまでもなくダナン、ニャチャンにおける韓国人の増加である。交通手段(飛行機)の運行状況を見ればその入出国ラッシュがよく分かる。

 旅行予約サイトで東京からダナンへの直行便を6月1日出発で検索したところ、ベトナム航空と全日空(コードシェア便)のみで、運賃はベトナム航空が約8万3000円、全日空は約38万円とかなりの高額だ。

 これに対しソウルからダナンへの直行便(運行4時間40分)は早朝6時台から夜10時台まで計14便(コードシェア便含む)と集中豪雨のような数だ。平日運行のLCCを利用すると7000円台でチケットが買えてしまう。

 1年ほど前、ダナンの空港の入国ゲートを通過してバス乗り場に向かう際、50人ほどの韓国人老若男女の集団を見かけた。掲げていた横断幕には「韓国○○高校ダナン同窓会」の文字。同窓会を韓国国内ではなくベトナムのダナンで開催するというのだ。飛行機に乗ってダナンに行くこと自体、すでに国内旅行をしているぐらいの感覚なのだろうか。それぐらい韓国人にとってベトナムは身近な存在になっている。

 一方、ベトナムでも若い世代を中心に韓国カルチャーのファンが増え、K-POPのコピーダンス動画を次々とYouTubeにアップし世界中に拡散。6月21日には、G-DRAGONや2NE1のラッパー・CLらが出演するK-POPの祭典「K-STAR SPARK IN VIETNAM 2025」が4万人を収容するミーディン国立競技場(ハノイ)で開催され、チケットはすぐに完売となった。韓国ドラマも同様で現地Netflixのランキングを見ると上位10作のうち7作が韓国ドラマだった(5月24日時点、TOP10 SHOWS IN VIETNAM)。

 同じ儒教文化圏という共通点があるが、近代史において両国を強く結び付けたのは言うまでもなく米国が軍事介入したベトナム戦争だ。

ダナン博物館の展示写真。韓国はベトナム戦争に精鋭部隊を送り込んだ

 南ベトナムを軍事支援するため韓国は64年から73年まで約32万人を派遣。その結果としてのベトナム特需は韓国に莫大な利益をもたらす一方、精鋭部隊による熾烈な残虐行為が99年に韓国の週刊誌報道で明らかになり国内で激しい論争を呼んだ。共産主義者との戦闘として正当化した人、残虐な兵士だった自身を責め続ける人、枯葉剤の後遺症に苦しんでいる人…。