スタッフ全員が韓国語会話を学ぶ飲食店も

 2024年の国別ベトナム訪問者数は韓国が1位で456万9000人(前年359万5100人)、次いで中国373万8000人(同174万3200人)、台湾128万9000人(同85万1000人)の順。日本は71万1000人(同58万9500人)で5位だった(ベトナム統計総局)。

 観光名所のダナン大聖堂やハン市場は海外からの観光客でごった返していたが、とりわけ目立っていたのが韓国人観光客だ。年配の団体ツアーからファミリー、若者カップル、バックパッカー…。大勢の韓国人が街にあふれ、まるで釜山の人気リゾート地、海雲台(ヘウンデ)ビーチを歩いているようだ。宿泊先のホテルで出会った若い日本人カップルは「海がきれいと聞いてダナンに来てみましたが、ハングルが多くてビックリしました」と話していた。

ダナンの商店街にあるネイルサロンもハングル表記

 飛び交う韓国語は韓国人からとは限らない。毎晩行列ができる有名シーフード店を訪れた際、17歳だというベトナム人の女性スタッフは「アンニョンハセヨ!(こんにちは)」「オソオシプシオ!(いらっしゃいませ)」と韓国語であいさつ。注文を受ける際は韓国人客と韓国語で会話しているのだ。

 聞くと、韓国語を習い始めて1年。同店ではスタッフ全員が韓国語会話を学んでおり韓国人客からの注文には困らないという。「日本語は?」と聞くと照れながら「分かりません」。

 観光客向けというより地元の若者向けにベトナム風家屋を再現したカフェでは店内にK-POPのBGMが流れ、隣席の若い女性客はタブレット端末で韓国のラブロマンス時代劇を見るのに余念がなかった。

 ビーチに近いコリアンタウンで知り合ったキムさん(40代)は韓国料理店を経営している。店内には無数の観葉植物が飾られ南国ムード。店内は広く昼間はカフェとして営業している。

「私は日本に6年住んだことがあり、その後、ベトナムに来ました。もう5年になります。私の一族は韓国、日本、中国、ベトナムに飲食店を開いていて私はそれらの国を行ったり来たりしていますが、ベトナムがいちばん好きですね。この辺りは韓国人が多いから韓国料理店同士で味の競い合いをしています。負けない自信はありますよ」