
「東南アジアのハワイ」で検索するとベトナム中部に位置する「ダナン」の名前が出てくる。ダナンは北部の首都ハノイ(人口860万人)、南部のホーチミン(同950万人)に続く第3の商業・工業都市(同122万人)でインドシナ半島の東西を結ぶ交通の要衝として知られている。
近年、ビーチリゾートとして急速に開発が進んでおり美しいミーケビーチ沿いに高層ホテルが次々と開業。有名な世界文化遺産である古都のフエとホイアン、ミーソン遺跡のセンターエリアという地理的な条件と物価の安さ、温暖な気候で世界中から観光客が集まってくる。4月末から5月にかけてのゴールデンウィーク中、筆者はこのダナンに滞在していた。
(鄭 孝俊:フリージャーナリスト)
街中に“氾濫”するハングル
街を歩いてみると、すぐに気づくことがある。街中至る所でハングルを目にするのだ。もはやそれは“多い”を通り越して“氾濫”に近い。
例えば、商業施設や飲食店が密集しているチャンフー通りやフンヴォン通り。「SKY GOLF」という名のスポーツ用品店の入り口左手には「スカイ ダナン 6号店」の看板が出ている。理髪店も同様で電光掲示板に「プサン 理髪店 1号店です」の赤い文字が点滅していた。

薬局もハングル表記があり、ダナンの飲食店の名所カフェやシーフード店にはハングル表記のメニューがそろっている。

大型ショッピングセンター「GO」をのぞくと、インスタントラーメンの商品棚は韓国の「辛ラーメン」や「KIMCHIラーメン」「チャパゲッティ」が半分以上のスペースを占拠。レジに並んでいた若いベトナム女性は韓国ラーメンを計20個ほど買い込んでいた。中国人観光客も多く中国語表記を見かけるが、韓国語のインパクトにははるかに及ばない。
旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS、東京・港区)の調査によると、2024年12月27日から2025年1月5日出発の海外旅行予約状況から計算した年末年始の海外旅行予約者数ランキングで、ダナンは前年比+74.8%増の9位となり、前年の12位から上昇。また、急上昇ランキングでは1位に躍り出るなど日本でも注目され始めている。
しかし、実際のダナンはハングルや韓国料理店が溢れかえる韓国の“裏庭”と化している。