日本で唯一の「馬の鞍に旗が立っている埴輪」

 古墳時代もですね、いろんな渡来人が来ていたことがわかるんですね。1つ例を挙げますと、埼玉県の行田市にあります酒巻14号古墳という古墳から、馬の埴輪が出ているんです。この馬の埴輪は日本各地から出るんですけども、なんと、この酒巻14号古墳から出た馬の埴輪はですね、鞍に旗が立っているんですね。

 これは、日本の馬の埴輪で唯一です。で、鞍に旗を立てるというのは、これは今の北朝鮮あたりの古墳の壁画にたくさん描かれている馬の姿でして、やはり高句麗の渡来人が日本にやってきて母国の騎馬の馬に乗る習慣を埴輪で表現していると、そのようにしか考えられないんですね。これは6世紀末の埴輪です。

 今、酒巻14号古墳の埴輪は国の重要文化財になっていますが、間もなく国宝になるんだろうと言われています。行田市郷土博物館に行くといつでもご覧になれますので、是非皆さん見に行ってください。

 他にもですね、古墳時代には額に白毫という、仏教徒の方が、今でもインドの女性などがおでこにいろんな色で仏様と同じ毛の渦を表現する丸い絵を書きますけれども、白毫を表現した埴輪ですとか、あるいは朝鮮半島の食器、今でも皆さんが焼肉屋さんで食べるナムルとかビビンバで使う金属製のお椀がありますよね。ああいうものが6世紀、7世紀の古墳からもたくさん出ています。

 ですから、正式に渡来人がやってきたということは、かなり後になりますけど、大勢の人が海を渡って朝鮮半島から日本列島にやってきていたということは十分考えられますし、日本列島からも大勢の人が朝鮮半島に渡っていたと思われます。