「LIGA Agresiva」は大阪府でスタート、参加校も数校だったが、年々増加して、2025年は34都道府県191校になる予定だ。

神奈川県の「LIGA神奈川」は、慶應義塾高校の森林貴彦監督らが中心となってリーグを作ったが、慶應義塾高は2023年夏の甲子園で全国優勝した。それ以外にも甲子園に出場する高校がいくつも出た。普通の公立校だけではなく、いわゆる強豪校でも、LIGAの意義を理解して、参加する高校が増えている。
筆者は「LIGA Agresiva」の現場を取材してきたが、指導者はとにかく意欲的だ。選手により多くの出場機会を与えるために「リエントリー(再出場)制度」を取り入れたり、「野球をする仲間」としての交流を深めるためにチームをシャッフルしたり、選手自らがプレーをジャッジする「無審判試合」を導入したり……。「野球を通して、選手たちが成長するにはどうすればいいか」を指導者と選手が常に考えている。「上意下達」が当たり前の日本の野球界にあって、この創造性は、まさに画期的だと言えよう。

甲子園出場が果たせなかった選手、公式戦出場の機会少なかった選手対象の夏キャンプ
昨年、阪長氏は「Liga Agresiva」と並行して「LIGA サマーキャンプ」を始めた。これは、3年生の野球部員が対象だ。
強豪校でレギュラーとしてプレーしたものの甲子園には届かなかった選手・部員数が多く公式戦出場機会に恵まれなかった選手・夏の地方大会で早期に敗退し公式戦の機会が少なかった選手などを対象とし、8月でも最高気温が30度前後という北海道で、全員に出場機会が与えられるリーグ戦に参加する。

自身の本当の実力を試したい、アピールしたい、大学などへの進路を広げたい、これまで出会っていなかった地域の選手とも交流を深めたいという選手が、夏休み中にさらなる実戦経験を積み、選手自身が未来を切り拓く環境を創出するというものだ。
ただ、参加には約27万円という費用がかかる。その費用を負担できる家庭の高校生限定ではあるのだが。
24年の第1回「LIGA サマーキャンプ」は、全国から52人の高校生が参加した。栗山町民球場で(夕張郡栗山町)のリーグ戦では、選手はのびのびと野球をした。最終日は、エスコンフィールドHOKKAIDOで、Finalを行った。

筆者はこのイベントも企画段階から取材していたが、率直に言って「予想以上の成功」だったと思った。
一つは、全国から集まった選手の「意識レベルが高かった」こと。参加した選手は甲子園に出場するような強豪校から普通の公立校まで、様々な学校から集まっていた。また、レギュラーだけでなく控え選手もいたが、試合に臨む姿勢はみんな真摯で、好ゲームが相次いだ。
もう一つは、マネジメントが優秀だったこと。チームは慶應義塾大学、弘前学院大の学生コーチが「コーディネーター」として率いた。運営はLIGA Agresivaに参加している高校野球の指導者や、ボランティア大学生が担当。さらに荻野忠寛氏(元ロッテ)、大引啓次氏(元オリックス、日本ハム、ヤクルト。今年1月から西武コーチ)と元プロ野球選手もアドバイスを与えた。

参加者の中から、石田充冴(北星学園大附属)が巨人のドラフト4位、澁谷純希(北海道・帯広農)が日本ハムの育成2位、と2人のプロ入り選手が出たのも驚きではあった。

「LIGA サマーキャンプ」は2年目を迎える。今年は8月2日から11日までの10日間の日程だ。2年目に臨む考えを阪長友仁氏に聞いた。