幕山、御岳山など初心者でも気軽に山歩きができるオススメの「駅近低山」
高尾山以外でも駅から近く人気の低山はある。いくつか紹介しよう。
【幕山(神奈川県湯河原町)/標高626m】
JR湯河原駅からバスで約10分。「鍛冶屋」バス停で下車。幕山公園を通って山頂に向かうハイキングコースは行程約8km、歩行時間3時間半程度の初心者向けコース。山頂から眺める相模灘と真鶴半島の絶景がすばらしい。
幕山公園は春の梅シーズンは4000本の梅が咲き、大にぎわい。春以降はシャクナゲ、紫陽花、金木犀など季節の花が訪れる人を楽しませてくれる。公園から5分登ったところにある幕岩は関東有数のロッククライミングの聖地。クライマーの姿を眺めるのも一興だ。時間があれば帰りに湯河原町内の日帰り温泉に立ち寄りたい。

【御岳山(東京都青梅市)/標高929m】
霊峰と崇められてきている信仰の山・御岳山。JR青梅線御嶽駅からバスでケーブルカーの滝本駅へ、所要10分。ケーブルカーで平均勾配22度の斜面を登ると、6分ほどでケーブルカー御岳山駅に到着。ここから山歩きがスタート。

ビジターセンターを経て山頂がある武蔵御嶽神社までは35分ほど。参道の斜面には樹齢1000年ともいわれる神代ケヤキがそびえている。神社内の大口眞神社には日本武尊が難を逃れるように導いたとされる白狼が祀られ、「おいぬさま」として親しまれている。
武蔵御嶽神社から5分で長尾平展望台に着く。美しい山並みを見渡しながらランチにしたい。帰路は同じルートを。休憩時間を含めて2時間~2時間半程度のお手軽ハイキングだ。体力のある人は日の出山(902m)を目指すなどさまざまなルートを楽しむことができるのも魅力だ。

【扇山(山梨県大月市)/標高1138m】
JR中央本線鳥沢駅下車。新宿から約1時間20分。登り口の梨ノ木平まではハイキングバスを利用したい(富士急バス/4~7月、9~12月15日の土日祝運行/鳥沢駅前9時発 梨の木平まで15分)。
標高1000mを超えるが、これといった難所もなく初心者向けのコースと言える。山梨百名山、大月市の秀麗富嶽十二景に選ばれている。
比較的穏やかな登りが続く。途中には水場があるので水分補給をしたい。登り口から山頂までは1時間40分程度。山頂からの富士山の眺望が抜群。広い山頂でゆっくりとランチを楽しみたい。帰路は同じコースを。梨の木平からのバスはないので、鳥沢駅まで約40分の歩き。あるいはタクシーを手配したい。

【天女山(山梨県北杜市)~美し森/標高1592m、1543m】
八ヶ岳南麓を横断するロングハイキングコース。JR小海線甲斐大泉駅からタクシー10分で天女山山頂直下の駐車場に着く。
いったん山頂に登って、南アルプスや富士山の色を堪能。はるか昔、この地に集まった八百万の神々のために天女が舞ったという伝説が残る山である。
ハイキングのコースは県営八ヶ岳牧場、川、小滝、羽衣の池など変化に富んだポイントを通り、赤岳の東尾根の一部が孤立してできた美し森までを歩く。途中の展望台では八ヶ岳の主峰・赤岳の迫力ある姿を目にすることができる。緩やかな道が続くので、子供連れでも大丈夫だ。歩行時間は3時間ほど。美し森からは清里までピクニックバスで25分程度(GW中は毎日運行)。


【筑波山(茨城県つくば市)/標高877m】
TX(つくばエクスプレス)の「つくば駅」、つくばセンターからバスで「つつじが丘」まで所要時間50分。筑波山は駅からはやや距離があるが、登山口までバスで行けるうえ、累積標高差が539mと少なく初心者向けなので番外編としてピックアップした。

万葉の時代から「西の富士、東の筑波」と親しまれ、日本百名山に最も低山で選ばれている。コースは往復約3時間。帰路にロープウェイを使ってもいい。女体山山頂からは関東平野や霞ケ浦を一望できる。双耳峰のもう一つ男体山までは25分程度。
* * *
GWの期間中はどこへ行っても行楽客でいっぱい。京都や鎌倉などはインバウンドによるオーバーツーリズムの弊害でストレスがたまる一方だ。こんな時こそ大自然の中に飛び込んで解放感を味わいたい。くれぐれも安心・安全を第一に、準備万端で臨みたいものである。
【山田 稔(やまだ・みのる)】
ジャーナリスト。1960年長野県生まれ。日刊ゲンダイ編集部長、広告局次長を経て独立。編集工房レーヴ代表。主に経済、社会、地方関連記事を執筆している。著書は『驚きの日本一が「ふるさと」にあった』『分煙社会のススメ。』など。最新刊に『60歳からの山と温泉』がある。東洋経済オンラインアワード2021ソーシャルインパクト賞受賞。